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GL先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン(2022年改訂版)
GL先天性心疾患,心臓大血管の構造的疾患(structural heart disease)に対するカテーテル治療のガイドライン(2021年改訂版)
GL成人先天性心疾患診療ガイドライン(2017年改訂版)
ニュートピックス
・2023年3月現在,保険診療としてカテーテルデバイス治療が対応している先天性心疾患は,二次孔型心房中隔欠損,動脈管開存,肺動脈弁逆流,卵円孔開存である.心室中隔欠損,三尖弁逆流,人工弁周囲逆流は保険償還されていない.
治療のポイント
・先天性心疾患の多くは根治困難で生涯医療を要する.
・近年の診断治療法の発展により,無症状例であっても積極的な治療が推奨されている心房中隔欠損や肺動脈弁逆流などがある.
・先天性心疾患では個別の病態の診断治療には専門医とかかりつけ医の連携,患者の理解が重要である.
Ⅰ.心房中隔欠損
◆病態と診断
・心房中隔の欠損により左房から右房へ短絡血流が流入し,右心系に容量負荷による拡大が生じる,女性に多い,男女比2:1の疾患である.
・心房間短絡血流自体は心雑音を生じず,若年期には無症状であることが多いが,中年以降で徐々に右心不全徴候が明らかとなり,健康寿命に影響する.
・閉鎖に伴うリスクと将来との心不全発症リスクを勘案し,無症状段階で治療検討を行うのが基本である.
・特にわが国では学校心臓検診法改正前の1966年生まれ以前の世代で成人で初めて診断されることが多い.胸部単純撮影による肺動脈の拡大,不完全右脚ブロック心電図波形,心房細動に対する高周波アブレーションが診断契機となることが多い.
・近年,肺高血圧の合併に関して,肺血管に対する薬物治療と閉鎖術の有効性が報告されている.
◆治療方針
従来,肺体血流比が1.5以上の場合を閉鎖術の適応としてきたが