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GL2020年改訂版 大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン
治療のポイント
・大動脈弁輪拡張症(AAE)においては,大動脈基部拡大,大動脈弁閉鎖不全の程度によって手術適応を決定する.
・大動脈解離の発症は時に致死的であり,耐術例においても遠隔予後は不良となるため,解離発症以前に予防的手術を行うことが望ましい.
・大血管壁が脆弱であるマルファン症候群においては,非マルファン症例よりも早い段階での手術が推奨される.
・手術術式は大動脈基部置換術であり,人工弁置換を伴うベントール型手術と自己弁温存手術がある.
◆病態と診断
A病態
・AAE(annuloaortic ectasia)は大動脈基部(バルサルバ洞)・大動脈弁輪が拡大する疾患であり,弁尖そのものに病変がなくても基部拡大の程度により2次的な大動脈弁閉鎖不全を生じることがある.
・AAEはマルファン症候群において多くみられる心血管病変の1つであるが,非マルファン症例のAAEも決して少なくない.
・マルファン症候群では,大動脈基部拡大が比較的軽度であっても,大動脈壁の脆弱性により大動脈解離を発症する場合がある.
・大動脈解離の発症は時に致死的であり,また,解離病変は大動脈全長に及ぶことが多いために,解離発症後に大動脈基部に対する手術介入を行っても,遠隔期に非手術(解離残存)部において大動脈イベントが生じる可能性が高い.
B診断
・AAEの診断には心エコーが最も有用であり,大動脈基部径,大動脈弁閉鎖不全,解離の有無などを評価する.
・大動脈基部の詳細な計測にはCTも有用で,近年,術前検査に用いられることもある.
・マルファン症候群は,常染色体顕性遺伝形式をとる先天性結合織疾患であり,心血管病変(大動脈弁輪拡張症,大動脈解離),筋骨格異常(高身長,漏斗胸,クモ状指趾),眼病変(水晶体偏位)などを特徴とする.診断には,大動脈基部病変(Z≧2)
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