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GL2020年改訂版大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン
治療のポイント
・初療は降圧(目標100~120mmHg)と鎮痛である.
・直ちに手術可能施設へ搬送する.
・A型偽腔開存型は緊急手術が必要である.
・(切迫)破裂や臓器灌流障害などがないUncomplicated B型では内科治療を行う.
・(切迫)破裂や臓器灌流障害を伴うComplicated B型では,病態に応じた観血的治療が必要である.
◆病態と診断
A病態
・内膜に亀裂が生じ,大動脈壁内に血液が侵入し,壁が中膜で2層に剥がれた状態である.本来の腔を真腔,新たに生じた腔を偽腔,両腔の隔壁をフラップと称する.
・2週間以内を急性期,3か月までを亜急性期,以後を慢性期とする.
・偽腔が血栓閉塞したものを偽腔閉塞型,血流があるものを偽腔開存型,内膜亀裂部に限局して偽腔血流がみられるものをULP(ulcer-like projection)型と称する.
・上行大動脈が解離しているものをStanford A型,していないものをB型と称する.
・発症頻度は人口10万人あたり年間10人程度,季節は冬に多く,年齢は70歳代が最多で,若年発症には遺伝的背景を有する者が多い(Marfanなどの症候群性のほか,非症候群性がある).
・A型偽腔開存型の非手術例では,1時間に1~2%死亡し,発症48時間で約半数が死亡する.死因の多くは上行大動脈破裂である.
・解離固有の合併症として分枝灌流障害がある(冠動脈,脳,腹部分枝,下肢など).
・破裂や分枝灌流障害で急性期に観血的治療を要するComplicated B型は,B型の25%程度である.
B診断
・約9割は急激な胸背部痛で発症する.典型例では,解離進展とともに疼痛部位が移動する.
・A型の1~2割は意識消失が初発症状である.
・四肢動脈拍動(上肢左右差はA型の約半数に認められる),心雑音(大動脈弁逆流),
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