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GL2022年改訂版 末梢動脈疾患ガイドライン
ニュートピックス
・血行再建後の抗凝固療法(微量リバーロキサバン)の有用性が証明され,血行再建後の薬物療法の選択肢が増えた.
治療のポイント
・血行障害に対する治療と疾患の背景にある動脈硬化症に対する治療を並行して行う.
・血行障害に対する治療は,臨床的重症度分類別に異なる.Fontaine分類Ⅰ度は血行再建適応なし,Ⅱ度では運動療法および薬物療法が第1選択(血行再建は相対的適応),Ⅲ度以上は血行再建が第1選択である.
・2週間以上治らない足の創傷をみたら血行障害を疑って専門医を紹介する.
・対側肢や他臓器の動脈硬化が存在する可能性が高いことを念頭に治療にあたることが重要である.
◆病態と診断
A病態
・生活習慣病の蔓延や人口構成の変化により,末梢動脈疾患が増加している.その多くが閉塞性動脈硬化症(ASO)であり,高血圧,脂質異常症,糖尿病,腎機能障害,喫煙のいずれかの背景因子を保有している.
・下肢虚血症状は,動脈病変の範囲,進行速度,側副血行路の発達状況によって決まる.
・ASOは全身血管病の一分症であり,冠動脈硬化症や脳血管疾患を高率に合併する.
B診断
・下肢虚血症候別分類(図)に沿って診断する.
・間歇性跛行は血管性のものか神経性のものか鑑別が必要である.
・2週間以上治癒しない創が足にある場合,虚血の有無を調べることが推奨されている.
・理学所見として,鼠径部,膝窩,足首レベルで動脈拍動の触診および腹部聴診を行う.
・虚血重症度の客観的検査法として足関節上腕血圧比(ABI:ankle brachial pressure index)測定が推奨されている.正常値は1.00~1.40で,0.91<ABI≦0.99を境界領域とし,ABI≦0.90を下肢末梢動脈疾患の診断基準としている.
・症状がなくても,糖尿病,喫煙など動脈硬化リスクファク
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