診療支援
治療

レイノー現象
Raynaud's phenomenon
丹 通直
(時計台記念病院・循環器内科部長(北海道))

頻度 よくみる

治療のポイント

・背景疾患の有無を鑑別するとともに,禁煙,寒冷刺激やストレスの回避など,生活環境の改善を試みる.

・保存的治療で改善を認めない場合には,薬物療法を実施する.

・薬物療法に抵抗性で,指趾の疼痛や潰瘍・壊死による組織障害を生じ,生活の質の著しい低下を認める場合には手術療法を考慮するが,長期的な有効性に関するエビデンスはない.

◆病態と診断

・指趾の細動脈の血管れん縮が寒冷刺激・喫煙などで誘発されることで血流障害を生じ,皮膚の色調変化(蒼白,チアノーゼ)や冷感・しびれ・疼痛を生じる.

背景に器質的病変を認めない1次性レイノー現象(レイノー病)と,全身性エリテマトーデスや強皮症などの膠原病による血管炎,末梢神経障害,末梢動脈疾患などの背景疾患を合併している2次性レイノー現象(レイノー症候群)に分けられ,頻度は1次性のほうが高く,2次性では原疾患の正しい診断が重要となる.

・四肢の主幹動脈に閉塞性病変を認める末梢動脈疾患では,潰瘍や壊死へ進行する場合があり,血行再建の可否を検討する必要がある.

◆治療方針

A保存療法

 寒冷刺激の回避や保温,禁煙の徹底を指導する.

B薬物療法

1.保存療法で十分な効果が得られない場合

 長時間作用型のジヒドロピリジン系Ca拮抗薬を投与する.投与開始後は,血圧低下などの副作用の発現に注意する.

Px処方例 下記1),2)のいずれかを用いる.

1)ニフェジピン(アダラート)CR錠(20・40mg) 1回1錠 1日1回 朝食後保外

2)アムロジピン(アムロジン)錠(2.5・5mg) 1回1錠 1日1回 朝食後保外

 上記で効果が不十分な場合は,下記3)への変更あるいは追加を検討する.

3)ロサルタン(ニューロタン)錠(25・50mg) 1回1錠 1日1回 朝食後保外

2.指趾に潰瘍,壊死を認める場合

Px処方例 上記に加えて,下記の投与を検討する.

 ベラプロ

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