治療のポイント
・浣腸法では,カテーテル先端による粘膜障害や穿孔,排便時の血圧の変動に注意する.
・洗腸法に用いる薬剤は,ショック,アナフィラキシーなどのおそれがあるので,自宅での服用に際し,患者に副作用発現時の対応について説明することが必要である.
・洗腸法に用いる薬剤は,腸閉塞や高度腸管狭窄,消化管手術後の患者では禁忌であり,腸管狭窄,高度な便秘,腸管憩室のある患者では注意が必要である.
・浣腸法と洗腸法ともに腸管内圧上昇による腸管穿孔を起こすことがあるので,排便,腹痛などの状況を確認しながら,随時投与継続の可否について慎重な検討が必要である.
A浣腸法
便やガスの排出を目的に施行する.直腸診で腫瘍や狭窄性病変が疑われた場合,事前に画像検査(単純X線,超音波,CTなど)で,腸閉塞でないことを確認する.硬便がある場合,摘便を行う.
1.グリセリン浣腸法
カテーテル一体型の浣腸液のカテーテルを肛門に5~10cm挿入し,ゆっくり浣腸液を注入したのち抜去する.
Px処方例
グリセリン薬浣腸液 1回20~120mL 経肛門的に注入 浣腸液を50℃程度の温湯であたため,浣腸液温を約40℃とする.1回の注入量は,原則的には体重1kgあたり1~2mLで,乳児:20~30mL,幼児:30~50mL,学童:50~80mL,成人:50~120mL程度が目安で,年齢・症状により適宜増減
2.高圧浣腸法
S状結腸より口側の便やガスの排出を目的に施行する.カテーテルを肛門に5~10cm挿入し,液面が肛門より40~50cm程度上方になるようにイリゲーターを設置.約40℃の微温湯や生理食塩液を100mL/分程度で注入する.
Px処方例
微温湯(約40℃) 1回500~1,500mL 経肛門的に注入
B洗腸法
大腸内視鏡検査,バリウム注腸X線検査や大腸手術前処置として行う.一般に経口洗浄液を用いる.
1.大腸内視鏡検査前処置
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