GL静脈経腸栄養ガイドライン第3版(2013)
治療のポイント
・栄養管理の原則は「使えるなら腸を使え」であるが,その特徴を理解し,病態に応じて選択する.
・経腸栄養法の利点としては,生理的投与経路のため感染などの合併症の減少,入院期間短縮,コスト低減がある.
A適応と禁忌
1.適応
栄養療法には静脈栄養法と経腸栄養法があり,後者には経口摂取法と経管栄養法がある.腸が機能している場合は経腸栄養法を選択し,そのうち経口摂取が困難または必要な栄養量が投与困難な場合に経管栄養法が適応となる.経腸栄養法は生理的投与経路で,経済面,管理が容易,重篤な合併症が少ないなど管理上のメリットが大きい.また,腸管粘膜萎縮の抑制から腸管バリア・免疫機能の維持,肝機能異常や胆汁うっ滞が少ないなどのメリットもある.しかし,静脈栄養法と比べても有用性は同等で,状況によっては静脈栄養法がより適正の場合もあることを認識しておく必要がある.
2.禁忌
難治性嘔吐,腸閉塞,麻痺性イレウス,汎発性腹膜炎,難治性下痢,活動性消化管出血など消化管機能が障害されている場合は禁忌となる.
B投与経路
経鼻,消化管瘻(胃瘻,空腸瘻,経皮経食道胃管瘻)がある.1か月(4~6週間)程度までの期間であれば経鼻アクセスを選択するが,それ以上または長期間が予測される場合には消化管瘻アクセス(可能なら胃瘻が第1選択)を選択する.
C経管栄養剤の種類
患者に応じた経腸栄養剤の選択は,重要なプロセスである.選択肢が多く,その特徴を把握しておく必要がある.
原材料から,天然濃厚流動食と人工濃厚流動食に分けられる.後者は窒素源の違いで,①半消化態栄養剤,②消化態栄養剤,③成分栄養剤に分類される.また,制度上の分類(医薬品か食品),製剤の形状(粉末,液状,半固形状),濃度,包装形態からも分類される.
クローン病や消化・吸収障害がある場合は,成分栄養剤,消化態