診療支援
治療

胃癌
gastric cancer
小田島慎也
(帝京大学医学部内科学講座准教授)

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GL胃癌治療ガイドライン医師用2021年7月改訂 第6版

ニュートピックス

・2022年度診療報酬改定により,胃癌手術において手術支援ロボット使用の場合に点数の上乗せが認められた.

治療のポイント

・胃癌の治療は,内視鏡的切除,外科手術,化学療法,対症療法が主となる.

・内視鏡的切除はリンパ節転移の可能性がきわめて低く,腫瘍が一括切除できる大きさと部位にある病変が適応となる.

・外科手術は,臨床病期Ⅰ~Ⅲの内視鏡的切除の適応外となる胃癌が適応となり,近年,腹腔鏡下手術やロボット支援手術などの低侵襲手術が普及しつつある.

・臨床病期Ⅳの胃癌は全身化学療法が第1選択となる.

◆病態と診断

A病態

・最新の統計によると,本邦の胃癌罹患数は年間約124,000例で,男性・女性ともに減少傾向にあり,男性では前立腺,大腸に次いで第3位,女性では乳腺,大腸,肺に次いで第4位の癌である.胃癌死亡数は年間約41,000例で,男性・女性ともに減少傾向にある.

・胃癌はHelicobacter pyloriH. pylori)の持続感染によって生じる慢性萎縮性胃炎を発生母地とする場合が多く,H. pylori感染が最大の危険因子と考えられている.

・本邦では,H. pylori感染率の減少に伴い,胃癌罹患数・死亡数の減少がみられるが,その一方で,H. pylori未感染者に生じる胃癌症例の報告もみられる.

H. pylori除菌により胃癌の発生は抑制されることが知られているが,除菌後に発生する胃癌はH. pyloriの現感染で発生する胃癌と形態や悪性度などの性質が異なる可能性も報告されている.

B診断

・胃癌に特異的な症状はない.早期胃癌の多くは無症状のため,胃X線検査胃内視鏡検査などの検診による発見が重要である.癌の進行に伴い,消化管出血,消化管狭窄による嘔吐嚥下困難食欲不振体重減少などをきたす可

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