診療支援
治療

急性腸管虚血(虚血性腸炎,腸間膜動脈閉塞症)
acute intestinal ischemia(ischemic enteritis and mesenteric arterial occlusion)
島田昌明
(国立病院機構名古屋医療センター・地域医療連携・患者支援センター部長)

治療のポイント

・虚血性腸炎の原因は腸管の血行障害で,血管側と腸管側の要因がある.内科的治療による保存的治療が基本で,多くは予後良好である.

・腸間膜動脈閉塞症は,塞栓症,血栓症,または循環血流量減少による腸間膜虚血の状態である.いまだに予後不良な疾患であり,早期診断・治療が必要である.

Ⅰ.虚血性腸炎

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◆病態と診断

A病態

・腸管の主幹動脈に明らかな閉塞を伴わず,可逆性の血行障害が原因と考えられている.血管側因子として,高血圧,糖尿病,動脈硬化など,腸管側因子としては,便秘,腫瘍による腸管内圧上昇,下剤などによる腸管蠕動亢進があげられ,両者が複雑に関与している.

・臨床経過により,一過性型,狭窄型,壊疽型に分類されるが,狭義では壊疽型は除かれる.

B診断

・中高年女性に多く,腹痛,下痢,血便で急激に発症し,左側結腸(下行結腸~S状結腸)に好発する.時に若年者でも発症することがある.抗菌薬の使

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