診療支援
治療

クローン病
Crohn's disease
大宮直木
(藤田医科大学教授・先端光学診療学)

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GL潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針 令和4年度改訂版

GLクローン病小腸狭窄に対する内視鏡的バルーン拡張術ガイドライン(小腸内視鏡診療ガイドライン追補)(2021)

GL炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン2020改訂第2版

ニュートピックス

・中等症~重症のクローン病の寛解導入・寛解維持に既存治療が効果不十分な場合に限って,ヒト化抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体製剤であるリサンキズマブ(スキリージ)の点滴静注,皮下注射およびヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬のウパダシチニブ(リンヴォック)の内服が保険承認された.

・腸管切除などによる短腸症候群を合併し,1年程度の腸管順応を経ても経静脈栄養量・補液量の低減が困難な場合に,GLP-2アナログ製剤であるテデュグルチド(レベスティブ)の皮下注射が保険承認された.

治療のポイント

・成分栄養剤を含む脂質制限などの栄養療法は安全かつ寛解導入・寛解維持効果を有し,薬物治療の効果も高めることから,クローン病の基本的治療である.栄養士による食事指導も行い積極的に導入する.喫煙患者には禁煙指導も行う.

・薬物の選択においては患者・家族と話し合い,病期,病型(小腸型,小腸大腸型,大腸型,および肛門病変,上部消化管病変の有無),疾患パターン(炎症型,狭窄型,瘻孔型),重症度に応じて決定する.その後も定期的な血液・便検査,画像検査で治療効果を判定し,治療の変更・強化の必要性を検討する(Treat-to-Targetストラテジー).

・薬物治療抵抗性の瘻孔,狭窄に対しては外科治療を検討する.ただし,内科的治療で炎症が鎮静化し,狭窄長が5cm以下かつ瘻孔を伴わない狭窄に対しては,内視鏡的バルーン拡張術が外科手術を回避する手段となり得る.

・穿孔,大量出血,消化管癌の合併,内科的治療で改善しない瘻孔・狭窄・膿瘍,小児の成長障害,排便障害

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