診療支援
治療

ラジオ波焼灼療法
radiofrequency ablation(RFA)
寺谷卓馬
(NTT東日本関東病院・肝胆膵内科部長(東京))

GL肝癌診療ガイドライン2021年版

ニュートピックス

・小径腎悪性腫瘍,標準治療に不適・不応な肺悪性腫瘍や悪性骨腫瘍,類骨骨腫,骨盤内悪性腫瘍,四肢や胸腹腔内に生じた軟部腫瘍といった肝悪性腫瘍以外の疾患に対して,一部のシステム(Cool-tip RFAシステムEシリーズ)を用いたラジオ波焼灼療法の保険適用が2022年9月1日付で拡大された.

治療のポイント

・肝細胞癌に対するラジオ波焼灼療法を含めた経皮的局所療法の適応は,ガイドライン上Child-Pugh分類でB以下,肝外転移や脈管侵襲を伴わない,3cm以下かつ3個以内の結節症例である.

・実際には肝切除や肝動脈化学塞栓術,薬物療法など他治療との優位性を症例ごと個別に検討したうえで判断されるべきである.

・術後,再発を前提とした画像検査(造影CTまたはMRI)や腫瘍マーカーの定期的なフォローが生涯必要である.

・再発防止策として,B型肝炎に対する核酸アナログ製剤の継続やC型肝炎に対する抗ウイルス療法,禁酒指導が重要である.

A経皮的局所療法の変遷

 1980年代から経皮的エタノール注入療法(PEIT:percutaneous ethanol injection therapy)が導入されるようになったが,主に径2cm以下の小結節に適応が限られていた.これは,結節が大きくなると線維性被膜や隔壁を有するため無水エタノールが癌細胞と十分接触できず壊死効果が減弱することに基づいている.1990年代半ばに本邦で開発されたマイクロ波凝固療法(PMCT:percutaneous microwave coagulation therapy)では,被膜や隔壁の影響を受けずに癌結節を加熱することにより壊死させることが可能となったが,焼灼域の横径が1.5cmと狭く,PEITと同様小さな結節に適応が限られていた.一方,2000年代初めから導入されたRFAでは,焼

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