診療支援
治療

原発性硬化性胆管炎
primary sclerosing cholangitis(PSC)
中沢貴宏
(名古屋市立大学大学院・消化器・代謝内科学)

頻度 あまりみない

治療のポイント

・発症原因が明らかな2次性の硬化性胆管炎を除外することが大切である.特にステロイド治療が有効なIgG4関連硬化性胆管炎との鑑別が重要である.

・胆汁うっ滞を改善する目的でウルソデオキシコール酸を投与するが,不応例にはベザフィブラートを併用する.

・難治例には肝移植を考慮する.

◆病態と診断

A病態

・原発性硬化性胆管炎(PSC)は肝内外の胆管にびまん性の狭窄が生じ,慢性の胆汁うっ滞をきたす難治性の疾患である.進行すると,胆汁うっ滞性肝硬変により,肝不全に至ったり,胆管癌の合併に注意を要する病態である.

・高率に炎症性腸疾患を合併するが,通常の潰瘍性大腸炎と病態が異なると考えられている.

B診断

・厚生労働省の「難治性肝・胆道疾患研究」班の「原発性硬化性胆管炎診断基準」を参考に診断する

特徴的な胆管像,ALPの上昇,炎症性腸疾患の合併の有無,肝生検像を組み合わせて診断する.

1.鑑別

・発症原因が明らかな2次性の硬化性胆管炎を除外することが大切である.

・特に胆管像は類似するが,ステロイド治療が有効なIgG4関連硬化性胆管炎との鑑別(「IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2020」,胆道学会HP参照)や悪性疾患の除外が重要である.

◆治療方針

A胆汁うっ滞の治療

 一般的にウルソデオキシコール酸(UDCA)が第1選択として使用され,生化学的改善効果は確認されているが,長期的な組織学的改善・予後改善効果についてはいまだ結論が一致していない.また,UDCA単独で胆汁うっ滞が改善されないときにはベザフィブラートが追加投与されることがあり,少数例を対象とした生化学的改善効果が報告されているが,やはり長期予後の改善をもたらすかどうかについては結論が出ていない.

Px処方例 1)を用いる.改善されないときは2)を併用する.

1)ウルソデオキシコール酸(ウルソ)錠(100mg) 1回2錠

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