診療支援
治療

原発性・転移性肝腫瘍(内科)
primary and secondary liver tumor(medical treatment)
上嶋一臣
(近畿大学特命准教授・消化器内科)

GL肝癌診療ガイドライン2021年版

ニュートピックス

・2022年に切除不能肝細胞癌に対する治療薬として,抗PD-L1抗体であるデュルバルマブと抗CTLA-4抗体であるトレメリムマブの併用療法,およびデュルバルマブの単剤療法が新たに承認された.先に承認された抗PD-L1抗体であるアテゾリズマブと抗VEGF-A抗体であるベバシズマブの併用療法と合わせ,複数の免疫治療が選択可能となり,切除不能肝細胞癌に対する治療選択肢が増えた.

・2022年に切除不能胆道癌に対する治療薬として抗PD-L1抗体であるデュルバルマブとゲムシタビン・シスプラチンの併用療法が承認された.

・化学療法歴のあるFGFR2融合遺伝子またはFGFR2遺伝子の再構成を有する治癒切除不能な胆管癌患者に対して,線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害薬であるペミガチニブが承認された.

・根治療法後も再発をきたすことが多いことが肝細胞癌の特徴であるが,2023年1月に肝切除あるいはラジオ波焼灼療法後の再発抑制治療としてのアテゾリズマブ・ベバシズマブ併用療法の有効性が報告された.

Ⅰ.肝細胞癌

頻度 ときどきみる

治療のポイント

・肝細胞癌・肝内胆管癌の治療においては肝予備能が最も重要である.治療法は腫瘍の進行度と肝予備能を考慮して決定される.

・ウイルス性肝炎などの背景肝疾患の治療も,肝予備能維持のためには重要なポイントになる.

・肝細胞癌に対する肝切除,ラジオ波焼灼療法,肝動脈化学塞栓療法(TACE:transcatheter arterial chemoembolization)は,根治を目指して行うことが重要である.根治が困難な腫瘍状態の場合には全身薬物療法を優先する.全身薬物療法を行い,肝内病変が制御できた場合には,局所療法を検討(conversion)する.

◆病態と診断

A病態

・肝細胞癌はB型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスによる

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