頻度 ときどきみる
治療のポイント
・比較的小さいものは抗菌薬投与のみで消失する場合もあるが,多くは経皮的ドレナージを必要とするため,処置が可能な施設に転送するべきである.
・血液培養・ドレナージ成分の培養を積極的に行い,起因菌の同定を行うべきである.
・膿瘍の原因となった基礎疾患について追求すべきである.
◆病態と診断
A病態
・肝膿瘍はさまざまな病原体が感染し肝臓に膿瘍を形成する疾患である.病原体の侵入経路としては,①経胆管的,②経門脈的,③経動脈的が考えられる.
・①については,胆嚢炎が肝床部に直接波及して膿瘍を形成することもあるが,下部胆管の狭窄のために起こる胆管炎が肝実質に波及して起こることが多い.肝癌に対するラジオ波凝固術や肝動脈塞栓療法などのあとに発生する肝膿瘍は,内視鏡的乳頭切開術や胆管空腸吻合を受けた患者で発生リスクが高いことが知られている.
・②については他の腹腔内臓器の感染,すなわち膵