診療支援
治療

胆嚢結石症,総胆管結石症,肝内結石症(外科)
surgical treatment for cholecystolithiasis,choledocholithiasis and hepatolithiasis
阪本良弘
(杏林大学教授・消化器・一般外科)

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GL胆石症診療ガイドライン2021(改訂第3版)

GL急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2018

治療のポイント

・無症状胆嚢結石は経過観察でよい.

・有症状胆嚢結石は腹腔鏡下胆嚢摘出術の適応がある.

・急性胆嚢炎を発症している胆嚢結石症例では軽症から中等症の場合は早期の胆嚢摘出術が推奨されるが,実際には胆嚢ドレナージ後に待機的に胆嚢摘出術を行っている施設も多い.重症例では,十分な全身治療と胆道ドレナージののちに待機的な胆嚢摘出術を行うことが推奨される.

・総胆管結石症例は,内視鏡的結石除去ののちに胆嚢摘出術を行うことが標準的である.

・肝内結石症の外科的切除適応は,肝内胆管癌を疑う症例,肝萎縮症例,胆管狭窄や拡張を認める症例である.

◆病態と診断

A病態

・胆石保有率は全人口の10%以上,肥満者の25%と推定される.有症状で発見されるのはそのうち30%程度である.

・コレステロール系石が50%,ビリルビンカルシウム石は40%であり,胆汁中コレステロールの過飽和,結晶化,胆嚢収縮能の低下により結石が生成される.

・危険因子として5F=forty(年齢),female(女性),fatty(肥満),fair(白人),fertile(妊娠,出産)が強い危険因子とされてきたが,2013年度での男性:女性比率は1:0.9であった.

・胆嚢癌の69~96%に胆石が併存するが,胆嚢結石が胆嚢癌の危険因子とする明らかなエビデンスはない.一方,肝内結石の存在は肝内胆管癌の危険因子である.

B診断

1.症状

・胆嚢結石の60~80%は無症候性である.有症状例の症状の内訳は腹・背部痛(57%),発熱(10%),悪心・嘔吐(8%),黄疸(3%)とされる.右季肋部の疼痛や違和感を呈する.発作時には心窩部の激しい腹痛が15~30分以上持続する.約60%で右肩甲骨から肩にかけて放散痛を自覚する.

・胆嚢炎を疑う場合はMur

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