診療支援
治療

輸液療法
fluid therapy
土井研人
(東京大学大学院教授・救急集中治療医学)

ニュートピックス

・敗血症に対する輸液蘇生において,生理食塩液による高クロール性代謝性アシドーシスの弊害が注目され,成分調整晶質液を推奨する方向性が示されてきたが,最近の多施設ランダム化比較試験において,成分調整晶質液が生理食塩液よりも予後を改善するというエビデンスが得られていない状況である.

・過剰輸液による臓器うっ血が害であるという考え方のもと,輸液制限の有用性を検討した多施設ランダム化比較試験も行われているが,輸液制限が予後を改善するという明確なエビデンスは得られていない.

治療のポイント

・輸液の目的は体液恒常性の維持であり,①水分の補充,②電解質の補充,③栄養素の補充の3つから構成される.

・輸液蘇生とは体液恒常性が破綻した状態に対して輸液による改善を得ることであり,維持輸液とは体液恒常性が維持された状態を継続することが目的であり,両者は区別されるべきである.

・体液の分布と電解質組成は細胞

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