診療支援
治療

利尿法
diuretic therapy
森 建文
(東北医科薬科大学教授・内科学第三(腎臓内分泌内科))

◆病態と診断

・利尿の目的には体液量の是正と電解質(溶質)補正がある.利尿法には経口摂取や補液のほか,利尿薬の投与がある.利尿法の選択には体液量および電解質,溶質の過不足を評価する必要がある.

A体液量の評価

・身体所見〔体重,血圧,脈拍,皮膚ツルゴール,浮腫,毛細血管再充満時間(capillary refilling time),頸静脈怒張など〕.

・胸部X線による心胸比,胸水の有無.

・CTによる下大静脈径,腎静脈径,胸腹水の有無.

・心エコーによる下大静脈径,心腔内径など.

・バイオインピーダンス法による体液量評価.

・BUN/Cr比,Ht,血清尿酸値,ナトリウム利尿ペプチド(ANP,BNP,NT-proBNPなど).

・尿浸透圧,尿Na,尿Na排泄率(FENa).

・これらの複数項目を測定し,総合的に体液量を判断する.

B溶質(電解質)の評価

・尿毒素物質(BUN,血清β2 ミクログロブリンなど),電解質(Na,K,Cl,Ca,P,Mg,Znなど).

◆治療方針

A利尿法の選択

 体液量とともに電解質の過不足を推測し,適切な利尿法を選択する.従来のループ利尿薬やサイアザイド利尿薬は腎灌流の低下やレニン・アンジオテンシン系などの血管収縮性ホルモンの賦活により腎機能障害を呈しやすいため,これらを最小限に他の薬剤を併用する傾向にある.

1.体液量が少ない場合

 原則は細胞外液の補液を行う.血清Na濃度が低い場合は細胞外液の補液で急速に血清Na濃度が上昇し,浸透圧脱髄症候群を呈する場合があり,Na濃度の低い補液に変更する場合がある.

Px処方例

 酢酸リンゲル液(ソルアセトF)輸液 1回500mL 10mL/kg/時で点滴静注

2.体液量が多くNa過剰が疑われる場合や血圧が高い場合

 減塩のほか,Na排泄性利尿薬の投与を検討する.

Px処方例 状況に応じて下記の1)~6)のいずれかを適宜用いる.

‍ (比較的急速に作

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