頻度 あまりみない(本邦における新規に診断される患者数は1,000人/年程度)
GL造血器腫瘍診療ガイドライン2023年版
ニュートピックス
・2022年5月に,従来のチロシンキナーゼ阻害薬(TKI:tyrosine kinase inhibitor)とは異なったアロステリック部位を標的とした,アシミニブ(セムブリックス)錠が,2種類の前治療TKIに不耐容・治療抵抗性の患者を対象として薬価収載され,TKIに治療抵抗性を示す場合でも効果が期待できるようになった.
治療のポイント
・6種類の薬剤が選択可能(初期治療薬としては4種類)であり,適切な治療を継続的に行うことにより,すでにCMLは患者予後を規定する要素ではない.
・薬剤により誘発されるさまざまな副作用や合併症の予防とマネジメント,さらには服薬コンプライアンスの維持が日常診療における重要な課題である.
◆病態と診断
A病態
・CMLは主に,9番染色体長腕に座位するABL1遺伝子と,22番染色体長腕に座位するBCR遺伝子との相互転座により,BCR-ABL1融合遺伝子が多能性造血幹細胞で形成され,これによりチロシンキナーゼ活性が亢進することで,白血球(なかでも好塩基球)や血小板が増加する骨髄増殖性腫瘍である.
・慢性期(CP:chronic phase)はほぼ無症状で良好な予後(10年生存率は80%以上)が期待できるが,移行期(AP:accelerated phase)や,特に急性期(BP:blast phase)では急性白血病と同様の発熱や貧血,出血症状を伴い予後はきわめて悪い.無治療の場合は,5年程度で上記の経過をたどり,致死的である.
B診断
・本邦においては,健康診断やかかりつけ医での定期的な採血検査における,白血球,血小板の増多を契機として発見されることが多い.
・BCR-ABL1融合遺伝子は少なくとも3種類確認されており,疑い症例における