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GL慢性甲状腺炎(橋本病)の診断ガイドライン2021
GL無痛性甲状腺炎の診断ガイドライン2021
治療のポイント
・橋本病の有病率は高いが,橋本病自体の治療法はないので甲状腺機能異常をきたしたときに治療する.
・甲状腺機能低下症では,それが一過性か永続性かを見極めてから治療を開始する.
・甲状腺中毒症(無痛性甲状腺炎の急性期)では,バセドウ病と間違って治療しないことが重要である.
◆病態と診断
A病態
・橋本病は自己免疫機序による慢性の甲状腺炎(臓器特異的自己免疫疾患)である.病理学的には甲状腺組織における「リンパ球のびまん性浸潤とリンパ濾胞の形成,および甲状腺濾胞上皮細胞の変性と結合組織の新生」を認める.進行すると,濾胞上皮細胞の変性によるホルモン合成障害とリンパ球浸潤による濾胞破壊によって血中へのホルモン分泌が減少し,甲状腺機能低下症をきたす.橋本病の有病率は高く,中年女性の約20%が