Ⅰ.原発性副甲状腺機能亢進症(primary hyperparathyroidism)
頻度 ときどきみる~よくみる(人口10万対年間50~100人程度)
治療のポイント
・治療の原則は責任病変となる副甲状腺の外科的切除である.
・薬物治療では,目的ごとに適切な薬剤を選択する.
◆病態と診断
A病態
・副甲状腺ホルモン(PTH:parathyroid hormone)の自律的分泌により高Ca血症が惹起される疾患である.
・PTHの過剰は骨吸収の亢進によるCaの血中への動員と尿中Ca排泄の増加をもたらし,線維性骨炎,骨密度の低下,尿路結石の原因となる.最近は,患者の多くは無症状である.
・大部分は副甲状腺の腺腫によるが,過形成や癌によることもある.多発や過形成の場合は多発性内分泌腫瘍症(MEN:multiple endocrine neoplasia)1型が疑われる.MEN2型の部分症の場合もある.
B診断
・高Ca血症およびintact PTH濃度の高値により本症が強く疑われる.
・類似の病態ではあるが治療の必要性の乏しい,家族性あるいは後天性低Ca尿性高Ca血症(familial or acquired hypocalciuric hypercalcemia)を除外する.1日尿のCaとクレアチニンのクリアランス比が鑑別診断に有用である.
◆治療方針
治療は副甲状腺病変の外科的切除が原則である.無症状の患者に対する手術適応の目安が提唱されており,①血清Ca基準値上限+1.0mg/dL以上,②糸球体ろ過率60mL/分未満,③骨密度Tスコアの-2.5以下もしくは既存椎体骨折の存在,④高Ca尿症300mg/日以上(男性),250mg/日以上(女性)もしくは画像検査による腎結石の存在,⑤50歳以下の若年者,では手術が勧められている.
手術による骨密度の上昇効果が明らかにされている.熟練した外科医による治癒率
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