◆病態と診断
A学会での主なトピックス
2023年5月,東京において第53回日本職業・環境アレルギー学会総会・学術大会が開催され,筆者が会長を担当した.
アレルギー疾患では,対症薬物療法の普及によってコントロールが飛躍的に改善してきた.一方で,特に日本では感作アレルゲンやその他の環境要因など,病態の本質にかかわる諸因子に対する対策については,海外と比べて後手に回った感が否めなかった.環境要因については過去数十年にわたる激動的といってもよい社会や地球環境の変化が,アレルギー疾患を取り巻く状況を大きく揺り動かし続けてきた.また関連して,例えば成人における食物アレルギーの増加など,日本のアレルギー診療実態がまだまだ追いついていない領域の存在も,ある意味大きな医療環境的問題ではあった.
本学会ではテーマを「ヒトを取り巻く環境変化とアレルギー疾患」とし,人類を取り巻く環境因子の各種アレルギー病態に対す