診療支援
治療

アレルゲン免疫療法:皮下免疫療法
allergen immunotherapy(subcutaneous immunotherapy:SCIT)
後藤 穣
(日本医科大学多摩永山病院・耳鼻咽喉科病院教授)

GL鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症―2020年版

GLアレルゲン免疫療法の手引き(2022)

治療のポイント

・アレルゲン免疫療法は唯一の根治療法であり,対症療法では得られないアレルギー疾患の自然史を修飾すると考えられている.例えば新規アレルゲン感作を抑制し,喘息の発症頻度を低下させる.

・治療終了後に長期寛解が期待できる.

・アレルギー性鼻炎ではすべての重症度に適応になる.

・気管支喘息ではダニアレルギーで適応があるが低肺機能の場合は行わない.

A効果発現メカニズム

 アレルゲン免疫療法により,アレルゲン特異的なTh2型免疫応答の抑制,Th1型免疫反応の誘導,制御性T細胞の誘導,またアレルゲン特異的IgG4抗体の産生などの免疫学的変化の発現が期待できる().

 制御性B細胞の誘導や,アレルゲン特異的IgA抗体が産生されるという報告,1型自然リンパ球(ILC1:group 1 innate lymphoid cell)やIL-10産生性ILCが誘導されるという報告もある.今のところこれらの作用が複合的に関与して臨床効果に貢献すると推定される.

B皮下免疫療法を選ぶ理由

1)ダニ,スギ以外のアレルゲンに対する治療も同時に行う症例

2)舌下免疫療法(SLIT:sublingual immunotherapy)で効果が乏しかった症例

3)SLITで局所副反応のため治療継続できなかった症例

4)早期からの効果を得たい症例(ラッシュ法,クラスター法)

C皮下免疫療法の実施施設,実施医師

 アナフィラキシーあるいは喘息増悪(発作)などに対する迅速な対応が可能な施設において,SCITに熟達した医師によって施行されるべきである.

D適応症例

 スギ花粉症,ダニによる通年性アレルギー性鼻炎およびアトピー型喘息,ブタクサ花粉症など.

1.適応外または禁忌

1)非選択的β遮断薬を使用中の患者

2)%FEV1 が70%

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