診療支援
治療

ラテックスアレルギー
latex allergy
正木克宜
(慶應義塾大学・呼吸器内科)

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GLラテックスアレルギー安全対策ガイドライン2018

治療のポイント

・原因不明のじん麻疹やアナフィラキシーの既往がある患者や,多種の果物へのアレルギーを訴える患者には,その原因がラテックスアレルギーである可能性を考えて詳細な問診を行う.

・症状出現時には局所であれば抗ヒスタミン薬を使用し,全身性であればアナフィラキシーに準じた対応を考慮する.

◆病態と診断

A病態と症状

・天然ゴムを材料としたラテックス製品を使用することで皮膚や粘膜からの感作が成立し,ラテックスに対する特異的IgE抗体が産生されて発症する即時型アレルギーである.

・ラテックス製品との接触直後にその部位にじん麻疹が現れる.進展した場合には鼻汁,眼や鼻のかゆみ,咳嗽,喘鳴が出現する.まれに血圧低下・意識障害に至る.

・患者の約半数ではラテックスと類似した蛋白を含む食物(バナナ,キウイフルーツ,アボカド,クリ)を摂取した際に,口腔内や咽頭の刺激感,腹痛・下痢などが出現する(ラテックス-フルーツ症候群).

B鑑別疾患

・刺激性接触皮膚炎は,ラテックスに特異的に起きる反応ではない点で本疾患とは異なる.

・アレルギー性接触皮膚炎はラテックスに特異的な症状を呈することもあるが,曝露から数時間から数日後に発症する点で本疾患とは異なる.

C臨床検査

・血清中のラテックス特異的IgEおよびラテックスのコンポーネントであるHev b 6.02特異的IgEの測定が診断に有用である.

◆治療方針

A発症予防(1次予防)

 ラテックス製品への曝露が多い方(医療従事者,繰り返して医療処置を受ける患者)や,皮膚バリアに脆弱性のある方(アトピー性皮膚炎患者など)が発症のリスクとなるため,このような方に本疾患の存在を知ってもらう.

 医療現場ではラテックスフリーの製品を導入する.ラテックスグローブを使用する場合でも,パウダーフリーの製品であれば感作リスクは

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