診療支援
治療

神経筋疾患の血漿浄化療法
plasm apheresis in neuromuscular diseases
新野正明
(国立病院機構北海道医療センター・臨床研究部長)

治療のポイント

・血漿浄化療法のそれぞれの種類の特徴,適応やその効果の違いを把握し,何をターゲットに血漿浄化療法を行うかを検討する.

・穿刺に伴う合併症や,補充液・置換液に起因する副作用など,注意すべき点を把握する.

・免疫グロブリン大量静注(IVIg:intravenous immunoglobulin)療法も選択肢となる疾患では,IVIg後に血漿浄化療法を行った場合,投与した免疫グロブリンが除去されてしまうため,IVIgは血漿浄化療法後に行うのが望ましい.

A血漿浄化療法の種類

1.単純血漿交換療法(PE:plasma exchange)

 被検者の血漿を遠心分離,除去したのち,アルブミンないし新鮮凍結血漿(FFP:fresh frozen plasma)で置換する方法で,免疫グロブリンやサイトカインを広く除去できる.一方で,置換液が大量に必要になり,凝固因子も除去されるため,注意が必要である.置換液として利用されるアルブミンとFFPの利点は,それぞれアレルギー反応が少ない,凝固因子が補充されるという点だが,欠点に関してはそれぞれ,凝固因子が補充されない,アレルギー反応・低Ca血症などがあげられる.

2.二重ろ過血漿分離交換療法(DFPP:double filtration plasmapheresis)

 分離器を2つ用いることで,分子量6万以上の高分子を除去し,低分子と置換液を体内に戻す方法である.フィブリノゲンなどの低分子を除去しないという利点がある一方で,回路が複雑で,低分子の中に病原性物質がある場合は適さない.

3.免疫吸着療法(IAPP:immunoadsorption plasmapheresis)

 分離された血漿成分を吸着器に通して物質を吸着させ,その後,血漿成分を体内に戻す方法である.置換液が必要ないため,ほかの方法に比べ副作用が少ないという利点がある.一方で,処理量に

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