診療支援
治療

もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)
moyamoya disease(spontaneous occlusion of the circle of Willis)
藤村 幹
(北海道大学大学院教授・脳神経外科)

頻度 ときどきみる(従来はまれであったが診断基準改訂に伴い増加傾向)

GL脳卒中治療ガイドライン2021[改訂2023]

GLもやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)診断・治療ガイドライン(改訂版)(2018)

ニュートピックス

・最近のエビデンスに基づき,バイパス術の適応が虚血発症例に加えて出血発症例にも拡大した.

治療のポイント

・日常生活が自立した患者に対しては,虚血例ならびに出血例(後方)にバイパス術が勧められる.

◆病態と診断

A病態

・もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)は内頸動脈終末部と周囲の血管が進行性に狭窄し,付近に異常血管網の発達を認める原因不明の疾患である.

・発症年齢の分布は二峰性で小児と若年成人に多い.小児例の多くは脳虚血症状で発症し,成人例では約半数が,脈絡叢型側副路(choroidal channel)に代表される脳底部異常血管網の破綻などによる頭蓋内出血で発症する.

B診断

・診断は脳血管撮影による内頸動脈終末部とその付近の狭窄,脳底部の異常血管網発達の確認による.MRAによる両側内頸動脈終末部病変とMRIによる基底核部のflow voidの確認でも診断できる.

・新診断基準下ではMRI Heavy T2強調画像による内頸動脈終末部付近の血管外径狭小化が追記された.MRI/MRAの普及により無症候例が増加しているが,その自然歴については不明な点も多く,多施設前向き登録研究〔AMORE:Asymptomatic Moyamoya Registry〕の結果が待たれる.

◆治療方針

 虚血症状を呈するもやもや病に対しては浅側頭動脈・中大脳動脈バイパス術が有効である.また間接血行再建術として種々の縫着術(synangiosis)もあり,多くの症例では直接・間接血行再建術を併用する.ランダム化比較試験JAM(Japan Adult Moyamoya)Trialにより後方出血例に対するバイパ

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