診療支援
治療

脳腫瘍
brain tumor
山崎文之
(広島大学准教授・脳神経外科)

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GL脳腫瘍診療ガイドライン2019年版(第2版)

ニュートピックス

・「WHO2021脳腫瘍分類(改訂第5版)」が発刊され,原発性脳腫瘍の分類は分子遺伝学的情報を重視した統合遺伝子診断がさらに拡張された.

・病名の末尾にNOS(not otherwise specified;特定のWHO診断に必要な検査を実施できていない,2016年から登場)を付けるオプションに加えて,NEC(not elsewhere classified;特定のWHO診断に必要な検査を実施したが,その結果ではWHO2021分類に該当するものがない)が登場した.

・放射線治療とテモゾロミドの治療歴がある悪性神経膠腫に,脳腫瘍ウイルス療法薬のテセルパツレブ(デリタクト)が認可された(2023年9月の時点では供給制限の解除待ち).

・転移性脳腫瘍は肺癌が原発でALKまたはRET融合遺伝子・EGFRドライバー変異を有する場合,分子標的薬の効果が高い.

◆病態と診断

・年齢と発生部位で種類(病理型)が絞り込める.髄内(脳実質内発生)腫瘍は転移性脳腫瘍,膠芽腫,悪性神経膠腫,中枢神経原発リンパ腫など悪性腫瘍が多く,髄外(脳実質外のくも膜や神経発生)腫瘍は髄膜腫や神経鞘腫などの良性腫瘍が多い.

・頭部MRI検査を中心とした画像診断で病変の部位,個数,腫瘍の信号変化と浮腫,脳ヘルニアや水頭症の併発について確認する.

・ガドリニウム造影検査と拡散強調画像は重要で,リング状に造影されてリングの形状が不規則な場合は膠芽腫,多発の場合は転移性脳腫瘍の可能性が高い.均一に造影されて造影部が拡散強調画像で高信号の場合は悪性リンパ腫を疑う.

・原発性脳腫瘍は手術による全摘出が重要で,病理組織診断に基づき追加治療が必要かどうか確定される.例外は中枢神経原発リンパ腫とジャーミノーマで,病変の積極的摘出は不要で,生検による診断後に化学療法や

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