頻度 あまりみない
治療のポイント
・脊髄腫瘍はまれな病態であるが,偶然発見される場合も増加しており,早めの専門医受診が勧められる.
・年齢や症状,腫瘍の増大スピードによっては,慎重な経過観察や内科的治療も有用である.
・腫瘍ごとに摘出方法は異なるが,神経組織を損傷しない,精緻な手術操作が必要である.
◆病態と診断
A病態
・脊髄腫瘍は,10万人に1人の疾患で,病変の主座により硬膜外腫瘍,硬膜内髄外腫瘍,髄内腫瘍に分けて考えられる.
・硬膜外腫瘍は悪性の転移性腫瘍が多く,皮質骨の骨破壊や疼痛を伴う場合が多い.
・硬膜内髄外腫瘍は,①神経鞘腫,②髄膜腫の順に多く,ほとんどが良性疾患である.
・髄内腫瘍は上衣腫,星細胞腫が多く,海綿状血管腫や血管芽腫が続く.特に星細胞腫では遺伝子診断が予後予測に重要な場合がある.
・脊髄腫瘍により脊髄や神経根が圧迫され,脊髄症や神経根症を呈する場合があるが,無症状あるいはごくわずか