診療支援
治療

片側顔面けいれん
hemifacial spasm
目崎高広
(榊原白鳳病院脳神経内科(三重))

頻度 ときどきみる

治療のポイント

・効果の高い治療はボツリヌス毒素療法と神経血管減圧術との2つである.

・通常はボツリヌス毒素療法を第1選択とする.

・内服薬はすべて適応外使用であり,有用性からも補助的な役割に留まる.

◆病態と診断

A病態

・顔面神経が頭蓋内で血管(通常は動脈)に圧迫されて生じる片側性の顔面筋れん縮である(狭義の片側顔面けいれん).

・典型例では片側の眼輪筋の下眼瞼部から上眼瞼部,さらに同側の顔面神経支配筋へ広がる.

・間歇性または持続性の同期性れん縮を認める.時に耳鳴を呈する.

B診断

・上記の特徴から診断する.時に腫瘍や血管奇形などが原因になるので,必ず頭部MRIなどで検索する.

・顔面麻痺や顔面神経外傷などの後遺症として生じる顔面連合運動も広義の顔面けいれんとみなす.これらは神経血管減圧術の対象とならない.

・1%内外で両側性となるが,左右は非同期であり同一疾患の左右同時罹患と考える.一方,眼瞼けいれんは両側性であり各顔面筋のれん縮は非同期である.

◆治療方針

 ボツリヌス毒素療法を第1選択とする.根治を希望する患者,顔面麻痺が進行する患者では手術を第1選択としてよい.原因疾患がある場合にはその治療を優先する.

A対症療法

1.内服薬による治療

 すべて適応外使用である.有効率が低く,副作用は少なくないため必須ではないが,ボツリヌス毒素療法の実施間隔を延ばせることがある.

Px処方例

 クロナゼパム(リボトリールまたはランドセン)錠(0.5mg) 1回1~2錠 1日1~3回 食後または頓用

2.ボツリヌス毒素療法

 軽症例でも初期治療としてよい.A型ボツリヌス毒素(ボトックス注用50単位)を添付文書に準拠して用いる.

B根治療法

 神経血管減圧術は,血管による顔面神経圧迫を解除する手術である.約90%が完全治癒または準治癒に至る.狭義の病型のみが対象である.

■専門医へのコンサルト

・ボツリヌス

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