診療支援
治療

メージュ症候群
Meige syndrome
和泉唯信
(徳島大学大学院教授・臨床神経科学分野)

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GLジストニア診療ガイドライン2018

治療のポイント

・メージュ症候群は,眼瞼けいれんを主症状とする頭頸部の分節性ジストニアである.

・症状に応じて,内服薬,ボツリヌス治療,深部脳刺激などで治療する.

◆病態と診断

A病態

・メージュ症候群は,眼瞼けいれんを主症状とする頭頸部の分節性ジストニアである.

・ジストニアは持続性の筋収縮を呈する症候群で,しばしば捻転性または反復性の運動や異常な姿勢を示す.

・ジストニアは大脳基底核を含む脳内ネットワークの異常により生じると考えられている.

B診断

・眼瞼けいれんに加えて,他の頭部(顔面)およびこれに隣接する下顎・舌・咽頭・喉頭・頸部のいずれかにジストニアを認める場合,これをメージュ症候群とよぶ.

・ジストニアは「パターンをもった捻れ」が最大の特徴であるが,頭部のジストニアにおいては,瞬目の増加や食いしばりなど,(四肢におけるような)捻れとして観察できないことがあるため注意を要する.

・メージュ症候群は女性に多く,局所性頸部ジストニアや局所性上肢ジストニアと比較して発症年齢が高い(平均55歳前後).

遅発性ジストニアも,メージュ症候群の表現型(頭頸部の分節性ジストニア)を呈する場合がある.

◆治療方針

 治療の目的は,不随意運動を抑制して動作機能を改善することである.日本神経学会の「ジストニア診療ガイドライン2018」も参照されたい.

 眼瞼けいれん,痙性斜頸,けいれん性発声障害にはボツリヌス治療を第1選択とするが,内服薬も合わせて用いることが多い.軽症の場合は内服薬を第1選択にし,経過をみながらボツリヌス治療の適応を検討していくのもよい.ボツリヌス治療・内服治療に抵抗性の場合には外科治療が考慮される.

A内服治療

Px処方例 下記の薬剤のいずれかを用いる.あるいは併用する.

1)トリヘキシフェニジル(アーテン)錠(2mg) 1回1錠 1日2回 

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