頻度 あまりみない
GL統合失調症薬物治療ガイドライン2022
ニュートピックス
・本邦における遅発性ジスキネジアに対するバルベナジンの多施設共同ランダム化二重盲検試験J-KINECTの結果が論文発表された.40mg・80mgいずれの投与量においても有効性・安全性が証明された.
治療のポイント
・特発性については薬剤による対症療法を行う.
・薬剤性については,精神科・脳神経内科など背景疾患の診療科と連携して治療を行う.
・2次性については原疾患の治療を並行して行う.
◆病態と診断
A病態
・口部ジスキネジアは,特発性,薬剤性,2次性に分類される.
・特発性の一部は,歯科器具の不適合が関連する可能性が示唆されている.
・薬剤性の原因薬としては,抗精神病薬,抗うつ薬,リチウム,抗パーキンソン病薬,抗てんかん薬などがある.
・抗精神病薬による口部ジスキネジアは,遅発性ジスキネジアと診断される.
・2次性の原因疾患としては,ハンチントン病,ウィルソン病,アルツハイマー病,脳炎,梅毒,代謝性/内分泌性疾患などが挙げられる.
B診断
・口部ジスキネジアは,舌・口唇・下顎を中心とした連続的かつ不規則な不随意運動である.
・薬剤性・2次性の鑑別が重要である.病歴・服薬歴の聴取,身体・神経学的診察が必須であり,必要に応じて血液検査・画像検査などを行って鑑別を進める.
◆治療方針
口部ジスキネジアは神経学的要因,精神的要因,歯科的要因が複雑に関連しているため,多科・多職種連携のチーム医療が推奨される.遅発性ジスキネジアの場合,原則として原因薬剤の減量を検討するが,原因薬剤が精神症状に効果がある場合には,その減量・中止の是非について精神科にコンサルトしながら慎重に検討する.第1世代抗精神病薬から,ドーパミンD2 受容体阻害作用の少ない第2世代抗精神病薬への変更を考慮する.
A薬物治療
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
1)ハロペリド