頻度 あまりみない(有病率は人口10万人あたり4人)
GL慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー,多巣性運動ニューロパチー診療ガイドライン2013
治療のポイント
・標準治療は免疫グロブリン静注療法あるいは副腎皮質ステロイド療法であり,病型・患者背景・合併症により適切に選択する.両者の効果が十分でない場合には血漿浄化法を行う.
・寛解導入療法には良好に反応するが,維持療法を要することが多い.
◆病態と診断
A病態
・2か月以上進行する四肢の運動障害を呈する脱髄性多発ニューロパチーである.60%が近位筋と遠位筋が同様に障害される対称性多発ニューロパチーであり,典型的CIDPと称されるが,遠位優位型,多発単ニューロパチー型などの亜型(variant)が存在する.
・病態の詳細は明らかではないが,自己免疫性機序により末梢運動神経の髄鞘あるいはシュワン細胞が障害されることが推定されている.
B診断
・上記の典型的CIDPあるいはvariantに合致する臨床症状と,2か月以上の進行を確認する.
・診断には末梢神経脱髄を証明する必要があり,末梢神経伝導検査における脱髄性異常(伝導遅延・伝導ブロック)を検出することが最も重要である.
・MRI・超音波による神経肥厚,脳脊髄液検査における蛋白細胞解離,免疫学的治療に対する反応性は,診断を支持する所見である.
・治療法の異なるその他の脱髄性末梢神経障害(POEMS症候群,遺伝性,薬剤性)を除外する.発症年齢は20~50歳が多く,男女比は約1.3と男性がやや多い.
・診断・治療に際して日本神経学会監修の「慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー,多巣性運動ニューロパチー診療ガイドライン2013」が有用である(現在改訂中).
◆治療方針
典型的CIDPに対して,免疫グロブリン大量静注(IVIg:intravenous immunoglobulin)療法,副腎皮質ステロイド,血漿交換
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