頻度 よくみる
治療のポイント
・芍薬甘草湯が疼痛軽減に有効.効果の向上には適切な服薬時間の選択が重要.
・誘発因子対策を十分行い,薬物療法を漫然と行わない.
◆病態と診断
・筋クランプは骨格筋の発作的な過剰収縮で生じ,強い痛みをきたす.生理的なものは,夜間睡眠時や激しい運動中に下腿三頭筋に好発する.
・誘発因子として,筋疲労,寒冷,脱水,電解質異常(K,Ca,Mg),妊娠,加齢がある.
・2次性として,神経疾患ではパーキンソン病が多い.その他,血液透析,肝硬変,甲状腺機能低下症,副腎機能低下症で生じる.薬剤性ではスタチン製剤,利尿薬,β遮断薬などがある.
◆治療方針
予防にはストレッチ,マッサージ,保温,水分補給が重要.発作持続時に薬物療法を行う.薬剤性を疑うときは原因薬剤を減量・中止する.代謝・内分泌異常では原疾患の対処を同時に行う.
A疼痛発作の薬物療法
Px処方例 まず1)を投与し,無効の場合は2)~6)のいずれかに変更する.
1)芍薬甘草湯薬エキス顆粒(2.5g/包) 1回1包 疼痛時頓用または就寝前
2)レボカルニチン(エルカルチン薬)FF錠(250mg) 1回2錠 1日3回 毎食後保外
3)タウリン薬散 1回1g(成分量として) 1日3回 毎食後保外
4)ダントロレン(ダントリウム薬)カプセル(25mg) 1回1カプセル 1日2~3回 食後保外
5)ガバペンチン(ガバペン薬)錠(200mg) 1回1~2錠 1日3回 毎食後保外
6)クロナゼパム(リボトリール薬)錠(0.5mg) 1回1錠 1日1~2回 食後保外
Px使い分けのポイント
・first line:1)から試みる.前兆を感じる場合は頓服とし,突発的な場合は就寝前に内服する.効果持続は約4~6時間なので発作時間を考慮して服用する.
・1)の無効時は2)以下のいずれかを処方する.
・2)は血液透析などによるカルニチン欠乏症に有効(保険適用あり