診療支援
治療

周期性四肢麻痺
periodic paralysis(PP)
太田康之
(山形大学教授・内科学第三講座神経学分野)

頻度 あまりみない

GL筋チャネル病 遺伝性周期性四肢麻痺(指定難病115)非ジストロフィー性ミオトニー症候群(指定難病114) 診療の手引き(案)(2021)

治療のポイント

・弛緩性の四肢麻痺を繰り返す場合は,その誘因や家族歴を確認する.

・弛緩性の四肢麻痺を診たら,血清K値を測定し,心電図を確認する.

・血清K値の低下または増加の原因となる疾患を鑑別する.

・発作時の治療は,まず血清K値の補正を行う.

◆病態と診断

A病態

・周期性四肢麻痺は,四肢の骨格筋に発作性に弛緩性麻痺を繰り返す疾患群である.

・発作時の血清K値により,低K性高K性に分類され,正K性は低K性に含まれるとの考えがある.

・原因により,イオンチャネル遺伝子異常が原因の遺伝性と,甲状腺疾患などが原因の症候性に分けられる.

・甲状腺機能亢進症に伴う低K性周期性四肢麻痺が最も頻度が多い.

・電位依存性CaチャネルをコードするCACNA1S遺伝子変異は,遺伝性周期性四肢麻痺のなかで頻度が多く,常染色体顕性遺伝形式の低K性周期性四肢麻痺の原因となる.

・電位依存性NaチャネルをコードするSCN4A遺伝子変異は,常染色体顕性遺伝形式の低K性または高K性周期性四肢麻痺の原因となる.

B診断

弛緩性四肢麻痺発作時の血清K値を測定し,心電図変化を確認する.

◆治療方針

 発作時の血清K値に異常を認めたら,まず補正を行う.低K性であれば,Kの経口投与を行う.高K性であれば,不整脈や心停止に注意しながら,グルコン酸カルシウムの点滴を行う.症候性であれば,原因疾患の治療を行う.

A四肢麻痺発作時の治療

1.低K性周期性四肢麻痺

 弛緩性麻痺は下肢より始まりやすく,夜間や早朝に起こりやすい.血清K値と心電図をモニタリングしながら,徐放性ではない経口K製剤25~50mEqを服用させる.

Px処方例 下記のいずれかを水に溶かして経口投与する.

1)グルコン酸カリウム(グ

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