Aインフォームド・コンセントと精神疾患
インフォームド・コンセント(IC:informed consent)は,患者が医療についての情報や状況を正しく理解でき,理解にもとづく合理的な判断が可能で,その判断に従って行動できることを前提とした,治療合意についての考え方である.この前提が成立しない場合があることが,精神疾患の特徴である.
精神疾患についてこの前提を考えるとき,ポイントが4点ある.第1は安定性で,こうした能力が精神疾患では変動しやすい.第2は連続性で,その「前提が成立しない」程度は連続的である.第3は特異性で,一般的能力ではなく「精神科医療に関する能力」についての判断が求められる.第4は客観性で,上記の「正しく」「合理的な」「従って」の意味は,立場により異なる.
B共同創造としての共同意思決定
この議論の基礎となるのは,精神疾患があるか,それを治療するか,治療で何を目指すかという精神