診療支援
治療

内観療法
Naikan therapy
堀井茂男
(慈圭会慈圭病院・理事長(岡山))

ニュートピックス

・内観療法は日本精神神経学会の精神科専門医の専門研修の到達目標(研修目標)となっており,2018年より認定制度が発足,令和5(2023)年5月現在の学会認定資格として,「認定医師」14名,「認定心理療法士」18名,「認定内観面接士」34名が認定されている.資格に関連する学会主催の内観研修会も定期的に開催されており,日本内観学会医師・心理療法士・内観面接士スーパーバイザー(内観認定者養成のための指導者)も学会が認定する資格として追加されている.詳細については日本内観学会ホームページを参照されたい.

治療のポイント

・内観療法は,母親など身近な人に「してもらったこと」「して返したこと」「迷惑をかけたこと」(内観三項目)について,自己の態度や行動を年代別に回想的かつ具体的に調べていく精神療法である.

・1週間程度集中して行う集中内観が基本であるが,状況により3日内観,毎日行う日常内観(分散内観),日記や郵便,メールで行う内観が工夫されている.

・この治療は治療枠や手順が明確であり,人生観,価値観に関連する高次なレベルの精神療法が可能である.

・内観療法は,精神修養や自己啓発から始まって疾病の治療法に発展したものであり,健常者のメンタルヘルス対策にも有用な手段といえる.

・内観の様式を尊重し,森田療法や絶食療法など他の精神療法と組み合わせる試みも行われてきている.

A内観療法の概要

 内観療法は,吉本伊信(1916~1988)が浄土真宗の修行法から創始したものであるが,宗教色を完全に払拭し,日本独自の短期集中型精神療法として確立されている.1978年に日本内観学会が創立され,現在では中国や韓国,欧米にも普及している.

 内観療法の根幹である集中内観は,治療構造が明確であり,学会の認定資格者を有する医療機関,施設(内観研修所)で行われており,患者は症状・病理をもった病人としてではなく,

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