診療支援
治療

処方薬依存症の治療
treatment of prescription drug dependence
松本俊彦
(国立精神・神経医療研究センター・精神保健研究所薬物依存研究部長)

ニュートピックス

・今日,薬物依存症患者のおよそ半分は,処方薬や市販薬などの医薬品の依存症患者である.そのうち処方薬のなかで乱用されることも多い薬剤はベンゾジアゼピン受容体作動薬(BZDRA:benzodiazepine receptor agonist)である.BZDRAは耐性形成しやすく,強い身体依存をもつ薬物である.なかでもエチゾラム,ゾルピデム,フルニトラゼパム,トリアゾラムは,作用時間が比較的短く,効果を自覚しやすいことから,乱用される頻度が高い.

治療のポイント

・BZDRA依存症治療のゴールは「処方薬ゼロ」ではない.可能な限り抗うつ薬や抗精神病薬,気分安定化薬といった,より依存性が低く,乱用リスクの低い薬剤に置換し,BZDRA以外の薬物療法で精神状態を維持できるようにすることである.というのも,患者の多くは気分や不安などの精神疾患を併存しており,それらに対する薬物療法は必要である.

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