頻度 ときどきみる
治療のポイント
・精神症状が出現あるいは悪化したときには,向精神薬,身体疾患治療薬,市販薬,サプリメントを含むすべての薬剤の副作用を疑うことが重要である.
・副作用が疑われる場合の治療原則は薬剤の減量・中止である.できない場合は,副作用の可能性が低い向精神薬での治療を検討する.
◆病態と診断
・脳は,その臓器自体の影響だけでなく,身体的な要因の影響を受けやすい.血液脳関門を通過する薬剤あるいは通過可能な病的状態であれば,薬理学的機序を介して,さまざまな精神症状を惹起する可能性がある.
・薬剤の副作用情報を把握したうえで,開始時期,用量変化,アドヒアランスなどと精神症状の推移との相関が原因薬剤の決め手になる(図).
・精神症状は,せん妄,抑うつ状態,幻覚妄想状態,躁状態,認知機能障害など多彩である.
◆治療方針
原因薬剤の減量・中止が治療原則である.必要に応じて,最小用量での向精神薬での治療を検討する.
Aせん妄・幻覚妄想状態・躁状態
Px処方例 下記のいずれかを用いる.内服困難時は3)を用いる.
1)クエチアピン薬錠(25mg) 1回1~2錠 1日1~2回 夕食後または就寝前 頓用保外
2)リスペリドン薬内用液(0.5・1mg/包) 1回1~2包 1日1~2回 夕食後または就寝前 頓用保外
3)ブロナンセリン(ロナセン薬)テープ(20mg) 1回1~2枚 1日1~2回 夕食後または就寝前 内服困難時 頓用保外
!不適切処方 1)は糖尿病患者には禁忌である.
B抑うつ状態
Px処方例 抑うつ気分・不安が強い場合は1)を,不眠・食欲低下が強い場合は2)を用いる.
■専門医へのコンサルト
・精神症状が原因薬剤中止によって改善しない場合,精神運動興奮