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GL統合失調症薬物治療ガイドライン2022
治療のポイント
・抗精神病薬による治療を継続し,寛解を維持し,再発予防に努める.
・アドヒアランスが不良な場合は持効性注射剤(LAI:long acting injectables)を積極的に使用する.
・副作用のモニタリングを行い,身体的健康を維持する.
・治療抵抗性統合失調症にはクロザピン使用を考慮する.
・ニーズに応じた心理社会的治療を提供する.
・パーソナルリカバリーを支援する.
◆病態と診断
A病態
・統合失調症は精神症症状の急性増悪(再発)が生じやすく,寛解しても5年以内に約80%の患者が再発を経験するとされる.
・再発エピソードでは薬物療法への反応性が低下し,寛解しにくくなることがある(治療抵抗性の増大).
・再発に伴い,学業や職業の継続困難,入院による生活の中断,自傷や他害のリスク増大,自尊心の低下やスティグマの増大などが生じ,リカバリーの達成を阻害する.
・再発に関与する最大の要因は,服薬の中断または服薬アドヒアランスの不良である.
・統合失調症患者の平均寿命は一般人より短く,死因として自殺や事故死のほかに,心血管系疾患による死亡の割合が大きい.
・心血管疾患などのリスク増加の要因として,医療へのアクセス不良,ライフスタイルの問題(食事,喫煙,飲酒,運動)と治療薬の副作用が指摘されている.
B診断
・再発の早期徴候として,睡眠の変化,身体化症状,疲労,不安,緊張,抑うつ,不信感,微弱な精神症症状などがみられることがある.ただし,服薬中断による再発では,短期間で急激に急性期症状が出現することが多い.
・副作用のモニタリングを注意深く行う(錐体外路症状,体重,肝機能,腎機能,血糖,脂質,血清プロラクチン,心電図など).
◆治療方針
症状の寛解維持・再発防止と社会機能の回復,すなわち臨床的リカバリーを目標に,薬物療法と心理社会的治療を行うとと