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GL摂食障害治療ガイドライン(2012)
治療のポイント
・摂食症の治療では,身体面,心理面,行動面における問題に対応する必要がある.
・低体重患者では,身体管理を適切に行い栄養療法による体重増加を目指すとともに,死亡リスクに留意した治療選択をする.
・疾病教育や食生活指導と,心理的問題の解決のための精神療法が回復に重要である.
・薬物療法単独での治療効果を示す医学的根拠はない.
◆病態と診断
A病態
・摂食症は食事や食行動に関連した異常が持続する精神疾患であり,主に神経性やせ症(AN:anorexia nervosa),神経性過食症(BN:bulimia nervosa),むちゃ食い症(BED:binge-eating disorder),回避・制限性食物摂取症(ARFID:avoidant/restrictive food intake disorder)が含まれる.
・女性の割合が高く,10~20代の若年者に多いが,より高齢の発症や慢性化により30代以降でもみられる.
・発症には,生物学的,心理的,環境的要因が複合的に影響しているとされ,ダイエット文化を背景に患者数が増加してきた.
B診断
・ANでは,食事量減少により低体重となるが,やせ願望や肥満恐怖から拒食が持続する.摂食制限型と,過食後に排出行動(自己誘発性嘔吐,下剤乱用など)を伴う過食・排出型がある.
・BNでは自己制御困難な過食エピソードを繰り返す.体重増加を防ぐため不適切な代償行動(排出行動や絶食,過剰運動など)を伴う.
・BEDでは,ストレスなどから過食を繰り返すが,代償行動がないため肥満傾向となる.
・ARFIDでは,食事への無関心や嫌いな食感,食後の不快感などを理由に食事を避け,著しい低体重に至る.体重や体型へのこだわりは認めない.
◆治療方針
AN患者は,病識の欠如や体重増加への抵抗から治療を拒否することが多い.