診療支援
治療

児童虐待(養育者への対応)
child abuse(help for batterers)
森田展彰
(筑波大学大学院准教授・社会精神保健学)

A基本的な考え方

 児童虐待は,貧困などの環境要因を含む多要因により生じる養育者による子どもの権利侵害であり,その心身の発達を阻害するものである.虐待は「疾患」ではないため「治療」といえないが,繰り返し虐待行為を行っている人の場合には,子育てに関する認知や養育上の問題行動パターンを変える働きかけが必要である.

B評価

 まずは厚生労働省の「子ども虐待対応の手引き」などを参考に,具体的な虐待か否かの判断を行う.さらに評価すべき虐待リスクの要因を挙げると,個人要因としては,若い,片親,ステップファミリー,子どもが多いこと,教育歴や収入が低いこと,育児ストレスや経済的ストレス,親自身の被虐待体験,子どものニーズや発達への無理解,体罰や暴力を正当化する態度,養育スキルの低さ,薬物やアルコールの問題,うつ病などの精神的な問題などである.また,家族要因としては,社会的孤立,家庭内で暴力対立が激しく,コミュニ

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