診療支援
治療

治療と仕事の両立支援
support for patients who work undergoing treatment
永田昌子
(産業医科大学准教授・両立支援科学)

ニュートピックス

・2018年度診療報酬改定において「療養・就労両立支援指導料」が創設され,算定要件が緩和されてきた.対象疾患は,癌,脳血管疾患,肝疾患(慢性経過),指定難病であったが,2021年4月に心疾患,糖尿病,若年性認知症が追加された.

A両立支援とは

 治療と仕事の両立支援とは,治療と仕事を両立させたいという患者本人の希望を受けて,医療機関と職場,支援機関などのさまざまな立場から支援を行い,患者本人が生き生きと働き続けることを目指す支援である.

 支援の実施と両立支援に関わる関係者との調整を行う両立支援コーディネーターが養成されている.両立支援コーディネーターが行う具体的な支援は,患者本人の同意のうえで,治療に関する情報や業務に関する情報などを得て,患者の治療状況に応じた必要な配慮などの情報を整理し,患者本人に提供することである.

 「療養・就労両立支援指導料」は,患者本人と企業が共同で作成した勤務情報書に基づき,主治医が,患者に療養上必要な指導を実施し,企業に対して診療情報を提供した場合について評価するものである.また,診療情報を提供したあとの勤務環境の変化を踏まえ,療養上必要な指導を行った場合についても評価される.

B医療機関の役割

1.相談体制の整備

 癌などの病名告知などの場面では,仕事を辞めなくても治療が継続できることを伝える.働いている患者に対して,治療の影響により仕事で困っていることがあれば相談を受ける.

2.主治医意見書の作成

a.患者本人と企業が共同で作成した勤務情報書の確認のポイント

1)作業内容や作業負荷など,患者がどのような働き方をしているか.

2)通院日や通院の時間帯の調整などに役立てるため,仕事の都合上どうしても対応しなければならない業務,勤務時間が柔軟に調整できるか,休暇などがとりやすい環境かどうか.

3)就業継続・職場復帰にあたっての要件

4)職場や患者本人が

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