診療支援
治療

ゲーム障害・ゲーム行動症
gaming disorder
神田秀幸
(岡山大学大学院教授・公衆衛生学)

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ニュートピックス

・2022年1月発効の国際疾病分類(ICD-11)で,嗜癖行動による障害の1つとして追加された.

治療のポイント

・デジタルデトックスの環境(ゲームから離れた環境)に身を置かせる.

・ゲームに過没入する患者自身が「ゲーム時間を減らす,ゲームをやめる」という動機づけをもてるかが重要である.

・ゲームに過没入する患者自身の背景にある問題にも着目する.

・認知行動療法や家族療法などの心理社会的治療の有効性が認められている.

◆病態と診断

A病態

ゲーム障害・ゲーム行動症とは,ゲーム使用をコントロールできず,日常生活の中でゲームが優先され,問題が生じているにもかかわらずゲームを続ける状態が12か月以上継続される状態を指す.

・ひきこもりや不登校など,家族や社会との機能不全が生じている場合がある.

・身体を動かさずにゲームに没頭するため,体力の低下や栄養不足・肥満,睡眠障害など心身の不調がみられることが多い.このほか,頸部痛・腰痛,腱鞘炎,手指の痛み,眼精疲労やドライアイなど,全身に関連する疾患の併発がみられる.

B診断

・診断は,以下の症状が1年以上継続することとされる.症状が重い場合は1年以内でも該当する.

1)ゲームをする時間をコントロールできない.

2)ほかの生活上の関心事や日常の活動よりゲームを優先する.

3)問題が生じているにもかかわらず,ゲームを続ける.

◆治療方針

 治療に関する研究の蓄積はまだ乏しく,標準的な治療法が確立しているとはいえない.ゲームから離れた環境,いわゆるデジタルデトックスの環境に身を置かせることで,規則正しい生活やリアルな世界での家族や仲間,医療者との関係性を構築する.

A動機づけ

 ゲームに過没入する患者自身が「ゲーム時間を減らす.ゲームをやめる」という動機づけをもてるかが重要である.そのためには「ゲームそのものにのめり込み,過剰使用となって現実生活に

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