診療支援
治療

腕神経叢損傷・分娩麻痺
brachial plexus injury,obstetrical brachial plexus palsy
星川慎弥
(東京都立病院機構東京都立広尾病院・リハビリテーション科医長)

Ⅰ.腕神経叢損傷

治療のポイント

・神経損傷について,自然回復可能な有連続損傷なのか,外科治療が必要な神経断裂や引き抜き損傷なのかを早期に診断し,適切な治療を開始することが重要である.

◆病態と診断

A病態

・腕神経叢はC5,C6,C7,C8,T1,計5本の頸神経根から構成され,上肢の運動・感覚を支配するが,これが損傷され上肢の麻痺を呈したものが腕神経叢損傷である.

・バイク事故を典型とし,高所転落など高エネルギー外傷が原因となることが多いが,単純な転倒や圧迫など低エネルギー外傷によることもある.

・高齢者では低エネルギー外傷による割合が多く,高齢社会での発症は増加するものと思われる.

・末梢神経での,一過性神経伝導障害(neurapraxia),軸索断裂,神経断裂の損傷に加え,神経根引き抜き損傷(節前損傷)が起こることが特徴である.したがって神経根レベル,神経束レベルに応じた種々の麻痺が生じる.

・引き抜

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