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治療のポイント
・凍結肩も腱板断裂もまずは保存治療が第一である.
・保存治療とは,投薬,注射,リハビリテーションである.
・保存治療に抵抗する場合は手術の適応となる.
◆病態と診断
A病態
・凍結肩とは,これまで「いわゆる五十肩」とか「肩関節周囲炎」とよばれていたものである.
・凍結肩と腱板断裂の症状はよく似ている.中高年にみられ,誘因なく発症する場合もあるが,外傷を契機に発症する場合もある.肩を挙上するなど運動時痛を訴えることが多く,時に夜間痛もみられる.
・症状は似ているが,病態は全く異なっている.腱板断裂は腱板が断裂した状態であるのに対して,凍結肩では腱板は正常である.凍結肩の病態は関節内の炎症が原因との報告が多い.
B診断
・身体所見や単純X線画像では両者の鑑別は難しい.超音波検査やMRI検査などの画像診断が必須である.画像で腱板の断裂がみられれば,腱板断裂と診断される.
・凍結肩の診断は除外診断であり,単純X線,超音波検査,MRI検査によって,腱板断裂,石灰性腱炎,変形性関節症などを鑑別する.凍結肩にみられる特異的な画像所見はない.
◆治療方針
両者とも治療の第1選択は保存治療である.保存治療とは,投薬,注射,リハビリテーションである.
A投薬
Px処方例 軽度の疼痛であれば非ステロイド性抗消炎薬1)を処方し,1)が無効の場合や,運動時痛が強かったり,夜間痛がある場合はオピオイド製剤2)を処方する.
B注射
投薬でも痛みの改善が得られない場合や初診時に痛みが強い場合は,注射を行う.腱板断裂に対しては,肩峰下滑液包注射もしくは関節内注射を行う.凍結肩に対しては関節内注射を行う.
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
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