診療支援
治療

上腕骨上顆炎(外側・内側)
lateral and medial humeral epicondylitis
尼子雅敏
(防衛医科大学校教授・リハビリテーション部)

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GL上腕骨外側上顆炎診療ガイドライン2019(改訂第2版)

治療のポイント

・強い握りや過負荷の制限を指導する.

・テニスエルボーバンドや理学療法を行う.

・ステロイド注射は有効であるが多数回の注射は行わない.

・保存療法で軽快しなければ鏡視下または直視下の手術を検討する.

◆病態と診断

A病態

・使いすぎによる腱付着部症である.

・腱付着部の変性,腱線維の断裂,毛細血管の増生,石灰化が認められる.

・外側はテニス肘,内側はゴルファー肘といわれている.

B診断

内・外側上顆付着部の圧痛を認める

・外側は抵抗下手関節背屈運動で肘外側に疼痛を誘発する(Thomsen test).

・内側は抵抗下前腕回内,手関節掌屈運動で肘内側に疼痛を誘発する.

・MRIではT2強調画像で高信号変化を認める.

・超音波検査では筋腱付着部の肥厚,低エコー,石灰化を認める.

・橈骨神経管症候群や腕橈関節疾患を除外する.

◆治療方針

A保存療法

1)消炎鎮痛薬の外用または経口投与を行う.

2)温熱療法や理学療法を行う.

3)テニスエルボーバンドや手関節スプリントを装着させる.

4)ステロイド局所注射は有効であるが,腱組織の脆弱性をきたすので3回以内に留める.

5)多血小板血漿(PRP:platelet rich plasma)療法や体外衝撃波,ボツリヌス毒素注射の有効性が海外で報告されているが,わが国では保険適用されていない.

  6か月の保存療法で症状が軽快しない場合は手術療法を検討する.予防法として,外側は前腕回内・手関節掌屈位,内側は前腕回外・手関節背屈位でストレッチングを行う.

1.トリガーポイント注射

Px処方例

 トリアムシノロンアセトニド(ケナコルト-A)皮内用関節腔内用水懸注 1回5mg+リドカイン(キシロカイン)注(1%) 1回0.5mL 内・外側上顆の筋腱付着部に注射

B保存療法無効例の治療

 手術は直視下法と鏡視下法

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