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治療のポイント
・内反肘,外反肘とも変形に伴う尺骨神経麻痺を発症することがある.
・尺骨神経麻痺の程度に応じて保存療法か手術療法か検討する.
・小児期の肘周辺骨折後の変形では,整容面や遅発性尺骨神経麻痺発症の予防のため変形矯正手術を行うこともある.
◆病態と診断
A病態
・先天性の要因である女性のみ発症のX染色体の欠損によるターナー症候群では,身体的特徴として低身長,翼状頸,外反肘をきたしている.
・ほとんどの例は外傷後に変形をきたす後天的な要因で発症する.すなわち内反肘は小児期の上腕骨顆上骨折後,外反肘ではやはり小児期の上腕骨外顆骨折後の偽関節や変形治癒で発症する.そのほかの肘周辺の外傷後にも変形をきたすことがある.
B診断
・通常の肘関節は生理的に外反傾向であるが,内反肘,外反肘の画像診断は前腕回外,肘伸展位上肢全長正面単純X線像において,上腕骨長軸と尺骨長軸の外側のなす角度をcarrying angleといい,このcarrying angleが180度以上を内反肘,160度未満を外反肘と診断する.
・外傷歴を聴取することも診断の助けになる.
・肘の変形に伴い遅発性の尺骨神経麻痺の症状を呈することがある.
◆治療方針
A内反肘
小児期の上腕骨顆上骨折後には内反肘変形をきたすことがあるが,内反肘変形は,整容面においても,遅発性尺骨神経麻痺発症のリスクを考慮しても,骨折骨癒合後に矯正骨切り術による変形矯正手術を検討する.尺骨神経麻痺をきたした場合には尺骨神経麻痺の治療に準じて治療を行う.
B外反肘
小児期の上腕骨外顆骨折後に偽関節をきたした場合は,外反肘変形は必発する.外反肘変形のまま成人に至った場合は遅発性に尺骨神経麻痺をきたすことが多いので,外反肘変形をきたさないように小児期の初期の骨折の治療が重要である.小児期の上腕骨外顆骨折偽関節例では積極的に骨接合術を検討する.成人例におい