診療支援
治療

関節リウマチの手指変形
finger deformities in rheumatoid hand
田平敬彦
(国立病院機構相模原病院・整形外科医長(神奈川))

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◆病態と診断

・関節リウマチ(以下RA)では,病状の進行に伴いさまざまな手指の変形が生じる.主な原因は,関節滑膜炎により,関節支持である靭帯,関節の破綻,骨軟骨破壊,そして腱のバランスが崩れることである.

・さまざまに変形を生じ,手指の変形がいくつも合併進行する可能性がある.

◆治療方針

 治療は,メトトレキサートや生物製剤といった薬物治療が第1であるが,変形した手に対するものとして,さまざまな外科的治療法が存在する.

A尺側偏位

 中手骨指節(MP)関節の尺側偏位が進行して,伸筋腱が尺側脱臼し,関節の掌側脱臼も出現.初期で関節変形が少なく,MP関節の破壊や脱臼が軽度な症例は,滑膜切除,伸筋腱の縫縮など軟部再建を行う.進行している症例では,年齢を考慮しながら,人工関節置換術を検討する().

Bボタン穴変形

 近位指節間(PIP)関節背側に滑膜炎が生じることで,背側関節包,中央索や側副靭帯の弛緩が生じMP関節は伸展し,PIP屈曲位になる.また,側索が掌側に偏位することで遠位指節間(DIP)関節が伸展する.治療は軽度であれば,ボタン穴変形用の装具などを使用.進行した症例では外科的に伸筋腱や関節包の軟部を縫合などして再建する.

Cスワンネック変形

 PIP関節の過伸展に伴い,DIP関節が屈曲位となる変形である.その原因は複数あり,MP関節,PIP関節,DIP関節が複合的に作用していて,タイプごとの分類もされている.治療は,軽度なものは装具療法を,高度に進行したものに対しては外科的な治療として,バランスの崩れた腱の再建術や,進行した症例では関節固定術,人工関節置換術を行う.

D母指の変形

 Nalebuffにより5型に分類され,1型:MP関節が原因で起こるボタン穴変形,2型:CM関節が原因で生じるボタン穴変形,3型:CM関節が原因で生じるスワンネック変形,4型:MP関節が原因で生じるM

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