治療のポイント
・本疾患は,手掌腱膜が緩徐に肥厚し,手指の拘縮を生じる.
・進行性で,再発しやすいことを念頭におくことが大切である.
・2015年から使用されていたコラゲナーゼ(クロストリジウムヒストリチクム)(ザイヤフレックス)注は供給停止となり,現在は使用不可となっている.
◆病態と診断
A病態
・手掌腱膜の線維性の増殖により皮下に硬結や拘縮索を生じるが,詳細は明らかでない.糖尿病,飲酒歴,喫煙歴との関連も指摘されている.
・中年以降の男性に多く,女性は少ない.北欧(バイキングとの関連が深い)の白人に多いとされてきたが,本邦においても近年多くの報告がみられる.
B診断
・手指掌側の皮膚に陥凹,結節,拘縮索を形成し,指の拘縮が生じる(図).初期は皮膚・皮下組織だけであるが,進行すると不可逆性の関節拘縮に至る.環指,小指,中指の順に多く,時に足底腱膜の肥厚や陰茎海綿体の肥厚(Peyronie病)を合併することもある.
・症状としては,テーブルに手をつけない(テーブルトップテスト陽性),洗顔時に指で目を突く,ポケットに手を入れにくいなどを訴える.
◆治療方針
A保存的治療
指伸展運動や伸展位保持装具などがあるが,むしろ手術後に適用する.
B外科的治療(手術法:適応,内容,合併症,予後)
1)経皮的腱膜切離術:18G針などで皮下の拘縮索を穿刺・切離する方法.簡便で低侵襲であるが,盲目的となりやすく,再発しやすい.
2)腱膜切除術:拘縮索を切除する方法.腱膜全切除術と腱膜部分切除術がある.全切除は広範囲に切除を行うため,血腫,皮膚の血行障害,神経障害などの合併症を生じやすいため,最近は拘縮索とその周囲の腱膜を切除する腱膜部分切除術を適用している.中手骨指節(MP)関節例は予後良好であるが,近位指節間(PIP)関節例では関節拘縮の程度により成績が不良となりやすい.
■専門医へのコンサルト
・本疾患は皮膚・皮下組織の