診療支援
治療

発育性股関節形成不全
developmental dysplasia of the hip
岡田慶太
(東京大学講師・整形外科学)

ニュートピックス

・2023年3月に二次検診かかりつけ施設リストが更新され,よりよい健診体制を確立して見逃し例をなくす動きが加速している.

治療のポイント

・早期発見,早期治療が重要である.

・一次健診では,①開排制限,②皮膚溝の非対称,③家族歴,④女児,⑤骨盤位の5項目を確認し,①がある場合,または②~⑤までのうち2項目以上が該当する場合は二次検診受診を促す.

・初期治療で整復されても,補正手術が必要となることがあるので,骨成熟まで経過観察する.

◆病態と診断

A病態

・発育性股関節形成不全とは,股関節脱臼,股関節亜脱臼,臼蓋形成不全の総称である.

股関節脱臼は,大腿骨頭が臼蓋から逸脱し接していないことをいう.

股関節亜脱臼は,大腿骨頭と臼蓋が接しているが被覆が不十分な状態をいう.

臼蓋形成不全は,寛骨臼の形成不全により大腿骨頭の被覆が浅いことをいう.

・先天性股関節脱臼は,母胎内肢位,関節形態,関節弛緩性など多因子疾患である.

・巻きおむつやswaddlingなどの育児環境によって,後天的に発育性股関節形成不全症が生じることもある.

・女児,家族歴がある人,冬生まれに発症頻度が高い.

B診断

・理学所見では開排制限皮膚溝の非対称Allis signを確認する.Allis signは仰向けで股関節を90度に屈曲させ,膝の高さを比較して脚長差があれば陽性である.また股関節にクリックが触れる場合は股関節脱臼を疑う.臼蓋形成不全は理学所見に乏しい.

Graf法や前方法による超音波診断が有用である.

・両股関節単純X線像では,Shenton線Calvé線などを用いて骨盤と大腿骨の位置関係に着目し,脱臼の有無を確認する.大腿骨頭が骨化していないことがあるので注意する().

・臼蓋角が30度以上であれば臼蓋形成不全である.

◆治療方針

 3か月頃に発見された股関節脱臼はリーメンビューゲル装具で治療する.装具治

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