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治療のポイント
・早期に診断し治療介入することで,スポーツ活動への早期復帰,再発予防が可能である.
・大腿四頭筋のタイトネスの改善を中心とした理学療法が重要であり,症状を放置したり,漫然とスポーツ活動休止のみで経過をみたりすると難治化する可能性がある.
◆病態と診断
A病態と疫学
・成長期における骨端症の1つで,骨化が未成熟な脛骨粗面に膝蓋腱を通じて大腿四頭筋の牽引力が繰り返し加わることで,二次骨化中心に炎症や剥離が生じる.
・10~15歳の男子に好発し,特に男子スポーツ選手では有病率が10~20%と高く,スポーツ非実施者と比べ有病率は2倍である.30%では両側性に生じる.
・サッカーやバスケットボールなどの競技で発症しやすい.
・脛骨粗面の成長段階(cartilaginous stage,apophyseal stage,epiphyseal stage,bony stage)のうちapophyseal stageおよびepiphyseal stageに発症しやすい.
B診断
1.理学所見
・脛骨粗面に圧痛,腫脹,隆起がみられる.
・初期には圧痛のみであるが,病期の進行とともに大腿四頭筋収縮に伴う運動時痛を生じ,さらに進行すると階段昇降,立ち上がり動作などの日常生活動作でも疼痛を生じる.
・大腿四頭筋の柔軟性が低下していることが多い.大腿四頭筋のタイトネスを,腹臥位での踵殿距離や膝関節の屈曲角度によって必ず評価する.
2.画像所見
・膝関節単純X線側面像にて,脛骨粗面の成長段階の確認,脛骨粗面の不整な隆起・分離や遊離骨片(ossicle)の有無の確認を行う.
・超音波検査では上記の評価のほか,ドプラーモードを用いて,持続的炎症によって生じる新生血管を,膝蓋腱周囲や膝蓋下脂肪体,脛骨粗面部の血流シグナル増加として可視化できる.
・MRI検査では,発症初期における脛骨粗面周囲の浮腫,膝蓋腱実質の